抗生物質関連下痢

抗生物質関連下痢とは、細菌感染症（抗生物質）の治療に使用される薬を服用した後、1日に3回以上、ゆるく水様便を排出することを指します。

抗生物質を服用する5人に1人が抗生物質関連下痢を発症します。多くの場合、抗生物質関連下痢は軽度であり、治療の必要はありません。下痢は通常、抗生物質の服用を中止してから数日で治まります。より重症の抗生物質関連下痢には、抗生物質の中止、または場合によっては変更が必要になります。

ほとんどの人にとって、抗生物質関連下痢は、以下の様な軽度の兆候と症状を引き起こします。

• 緩い便
• 排便回数増加

抗生物質関連下痢は、抗生物質の服用開始から約1週間後に始まる可能性が高いです。しかし、下痢やその他の症状は、抗生物質治療の終了後数日、または数週間経ってから現れることもあります。

抗生物質関連下痢が起こる理由は完全に解明されていません。一般的には、抗菌薬（抗生物質）が胃腸管内の善玉菌と悪玉菌のバランスを崩すことによって発症すると考えられています。

抗生物質関連下痢は、抗生物質を服用するすべての人に起こる可能性があります。しかし、以下に該当する場合は、抗生物質関連下痢を発症する可能性が高くなります。

• 過去に抗生物質関連下痢になったことがある
• 長期間抗生物質を服用している
• 複数の抗生物質を服用している

あらゆる種類の下痢の最も一般的な合併症の1つは、体液と電解質の極度の喪失（脱水）です。重度の脱水は生命を脅かす可能性があります。兆候と症状には、口のひどい乾燥、激しいのどの渇き、排尿の減少またはなし、めまい、脱力感などがあります。

抗生物質関連下痢を予防するために、以下のことを心がけましょう：

• 必要な場合にのみ抗生物質を使用しましょう。 医師が必要と判断しない限り、抗生物質を使用しないでください。抗生物質は細菌感染症の治療に効果がありますが、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症には効果がありません。
• 介護者に手洗いをお願いしましょう。 在宅または病院で介護を受けている場合は、介護者全員に、あなたに触れる前に手洗いをするか、アルコールベースの手指消毒剤を使用するよう依頼してください。
• 以前に抗生物質関連下痢またはC. difficileに罹患したことがある場合は、医師に伝えてください。 以前に抗生物質関連下痢またはC. difficileに罹患したことがある場合、抗生物質によって再び同じ反応が起こる可能性が高まります。医師は、別の抗生物質を選択できる場合があります。

抗生物質関連下痢の診断にあたっては、医師はあなたの病歴、特に最近の抗生物質治療の有無について質問することが多いです。医師がC. difficile感染症を疑う場合は、便検体を採取して、その細菌の検査が行われます。

抗生物質関連下痢の治療法は、症状の重症度によって異なります。

下痢が軽度の場合、抗生物質治療の終了後数日で症状は自然に治まる可能性が高いです。場合によっては、医師が下痢が治まるまで抗生物質治療の中止を勧めることもあります。

C. difficile感染症を発症した場合、医師は現在服用中の抗生物質を中止し、下痢の原因となっているC. difficile菌を殺菌する抗生物質を処方することがあります。また、胃酸抑制薬の服用中止も指示される場合があります。このタイプの感染症では、下痢症状が再発し、反復治療が必要になることがあります。

下痢に対処するには：

十分な水分を摂る。 下痢による軽度の水分損失に対処するには、より多くの水または電解質を含む飲料を飲んでください。より重度の水分損失の場合は、水、砂糖、塩を含む飲料（経口補水液など）を飲んでください。砂糖の含有量が少ないブロスやフルーツジュースを試してみてください。症状を悪化させる可能性のある、砂糖の含有量が多い飲料やアルコールまたはカフェインを含む飲料（コーヒー、紅茶、コーラなど）は避けてください。

下痢の乳幼児や小児には、医師に経口補水液（ペディヤライトなど）を使用して水分と電解質を補給することについて相談してください。

ヨーグルトなどの食品に含まれるプロバイオティクスに目を向ける人がいますが、消化管内の健康なバクテリアのバランスを取り戻せるという期待があります。しかし、市販のプロバイオティクスが抗生物質関連下痢の症状を軽減できるかどうかについては、まだ意見の一致を見ていません。ただし、免疫力が低下していない限り、プロバイオティクスを摂取しても有害であるとは考えられていません。

• 十分な水分を摂る。 下痢による軽度の水分損失に対処するには、より多くの水または電解質を含む飲料を飲んでください。より重度の水分損失の場合は、水、砂糖、塩を含む飲料（経口補水液など）を飲んでください。砂糖の含有量が少ないブロスやフルーツジュースを試してみてください。症状を悪化させる可能性のある、砂糖の含有量が多い飲料やアルコールまたはカフェインを含む飲料（コーヒー、紅茶、コーラなど）は避けてください。

  下痢の乳幼児や小児には、医師に経口補水液（ペディヤライトなど）を使用して水分と電解質を補給することについて相談してください。

• 特定の食品を避ける。 下痢中は、乳製品、脂肪分の多い食品、辛い食品を避けるのが賢明です。症状が治まったらすぐに、通常通りの食事に戻ることができます。

• 整腸剤について相談する。 抗生物質関連下痢の軽症例では、医師がロペラミド（イモディウムA-D）などの整腸剤を推奨する場合があります。しかし、整腸剤は体内の毒素を排出する能力を妨げ、重篤な合併症につながる可能性があるため、服用する前に医師に相談してください。これらの薬は、C. difficile感染症を発症した場合には使用しないでください。